保護犬 里親 里子犬 病院を怖がる (2)


産まれたお家では問題児(犬)扱いになっていたポンテの里親になることが決まった時、親身になって相談にのってくれたのは動物病院の看護師さんだった。

彼女とは、彼女が新卒で入社した時からの付き合いだからそこそこの長さになる。平日の午後診は17時半までは比較的空いているため、愛犬のお散歩がてらスイーツを持参し立ち寄ってガールズトークに花を咲かせるなんてこともよくあった。

問題児らしきポンちゃんが動物病院そのものや診察・治療を怖がる犬にならないために最大限のことはしたい、と言ったのは彼女だったかわたしの方だったか。




①犬を動物病院嫌いにさせない なにもしない顔合わせ


「ここは飼い主と仲良しの優しい女の人がいる場所なんだな」とポンちゃんが認識するよう、動物病院にただ立ち寄る。彼女とわたしはいつも通りに楽しく笑って5~30分程度過ごすだけ。

その際に気をつけるべき点は2つ。

  1. 彼女はポンちゃんを気にかけない。手を伸ばすこともしなければ関心も持たない。あくまでも、少しばかり気難しい性格のポンちゃんが自ら彼女に興味を示すまでは積極的には目も合わせない。

  2. 飼い主であるわたしは、ポンちゃんを彼女にわざわざ近づけない。あくまでもポンちゃんの自主性に委ねる。

この「なにもしない顔合わせ」は合計3回行おうと決めていました。1度目は5分、2度目は10分、3度目は30分と顔合わせする時間を伸ばし、ポンちゃんが鼻先を彼女に近づけてクンクンクンと自ら歩み寄った3度目をひとまずのゴールに。

  • 動物病院は怖い場所ではない。
  • 動物病院はお散歩のついでに立ち寄るスポット。
  • 動物病院にいるおねえさんは、かあちゃんの友だち。

ポンちゃんが動物病院と看護師である彼女をまだまだ警戒しているようなら、なにもしない顔合わせをもう少し続けようと話していましたがどうやらひとまずオッケーらしい。というわけで、次のステップに駒を進めました。


②犬を動物病院嫌いにさせない 後ろ足の毛Onlyトリミング


 ②-a.)犬の視野に入る部分ではなく視野から遠い後ろ足の、太ももから足首に向かってぼさぼさと生えて「フリンジ」のようになっている毛のトリミングにトライしてみる。

 ②-b.)それが問題ないようなら、同じく後ろ足の足裏毛のトリミングにも挑戦してみる。警戒するようなしぐさが見られたら即止める。

②-a.にかける時間は5分程度にする。心にも体にも負担をかけないように気をつける。電動バリカンの音を怖がり警戒する犬は少なくないため、まずはハサミを使っておこなう。


③犬を動物病院嫌いにさせない 姉犬と一緒にトリミングへ

保護犬 里親 里子犬 病院を怖がる (1)

上記②をやすやすとクリアした賢いポンテは、翌週姉犬ブルーと一緒にトリミングへ。

我が家で暮らし始めたばかりの頃、ポンちゃんとブルーはよく寄り添っていました。それを知る獣医さんと看護師さんのアドバイスもあり「仲良しの先住犬ブルーと一緒の安心感」を引っ提げて、今回のポンちゃんは股間~お尻・しっぽのトリミングにトライ。

この頃のポンちゃんは足で歩くお散歩は苦手。外の世界に興味はあるけれど、聞き慣れない音や見慣れない者・物に溢れる街は怖い様子。

ですので散歩と言ってもスリングに包まれて移動する「スリン歩」やキャリーリュックに入って自転車で移動する「チャリん歩」がもっぱら。
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動物病院へ向かうブルーとポンテの2匹のチャリん歩は、街を行き交う人々にとってそれはそれは可愛く映ったようで、あちらこちらで黄色い悲鳴があがりました。

それに気を良くしたのかポンちゃんは、たいへんお利口さんにお尻周りのトリミングを受けていたそう。人間のオスも犬のオスも女性たちにキャーキャー言われると頑張っちゃうみたいです


犬を動物病院嫌いにさせない3つの工夫と大きな効果

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看護師さんはもちろんのこと、獣医さんや獣医さんの奥さまもポンちゃんが動物病院そのものを怖がらないように適切なアドバイスや創意工夫をそのつど提供くださり、おかげでポンちゃんは動物病院を嫌がりも怖がりもしない犬になりました。

ポンテだけでなく先住犬のハム君・ブルー・ぴーちゃんも動物病院は散歩コースのひとつくらいに思っているようで、お天気がよくやわらかで心地のいい風が吹く日はおのずと動物病院へ向かう道を歩くほどです。


今年の春も、かかりつけではない周辺の動物病院の駐車場では、狂犬病注射やフィラリア検査を全身で嫌がり踏ん張る中型~大型犬と飼い主さんたちの格闘劇を多く目撃しました。

その姿はたまらないほど愛しく、思わず笑ってしまったりもするのですが、飼い主さんは大変だろうな~と同情もいたします。


もしもポンちゃんが人間の言葉を話せるとしたら――「動物病院好き?」の質問になんと答えるでしょうか。「あのおねえさんのことは好きだし、怖くもないよ」そう言ってもらえたら、①②③の手順を踏んだ看護師さんと飼い主の努力もすこしは報われるってなもんです


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