
目次
犬の里親になるためのハードル
急激な悩みとストレスが原因、原発性肋間神経痛
飼い主の危機は突然に~あずかり先はいくつあってもいい感じ
亡くなった愛犬が見せた不思議な夢パートⅡ
愛犬の旅立ちから百箇日に、里子犬を迎える
犬の里親になるためのハードル
飼っている3匹の老犬の生涯と、里親として新たに迎える予定でいた生後10か月の子犬の、これから先の15年前後とされる一生に寄り添うために、まずは自分自身の健康が肝心と受けはじめた健康診断。
その最中、「蟻走感」――ぎそうかんという皮膚・肌の上に発生する感覚異常と右卵巣の腫れが見つかった。
婦人科と内科、心療内科での医師の見解は揃って同じだった。
7月に味わったペットロスの大きさ。8月の老犬たちのうつ病ケアや通院の多さ。9月のノミ騒動。心が緊張した状態が3か月も続いて平気な人はいないです。からだが、がんばりやさんのあなたに代わって『私は苦しい、本当はとてもつらくて悲しい』と声を上げてくれたんですよ。蟻走感と卵巣の腫れの原因は、自律神経失調症です。
急激な悩みとストレスが原因、原発性肋間神経痛
婦人科で受けた血液検査の結果が出るまで、卵巣の腫れの原因が判明するまで、眠れない毎日を過ごした。
詳細は前回の記事[【蟻走感】ペットロスで自律神経失調症になって、自律神経失調症で卵巣が腫れた]に書いたけれど、
手術が怖いとかそんな子どもじみた理由ではなくて、老犬3匹の、たった1人の飼い主であるわたしが入院することになったら…彼らを誰に預ければいいんだろうという不安。
里親になる予定でいた子犬の現在の飼い主さんへの「飼えないかもしれない」という旨の報告と、そのタイミング。ペットを飼うなら終生飼養は当たり前と生きてきた自分の、実際には穴ぼこだらけの環境。
卵巣に腫れが見つかった日から2日後、わたしは整形外科の待合室にいた。急激に痛み出した肋骨周辺を診察してもらうために。
医師から「念のために内科でも診てもらうように」と言われ…くだった診断は『原発性肋間神経痛』。自律神経のバランスが崩れたり、強いストレスを感じた時に突発的に起こるのだそう。
わたしってつくづく、ストレスに弱いんだなと痛感した。と同時に「犬を飼う」ってこんなにも越えなければならないハードルがあるんだっけかなと、その責任の重さにまた肋骨が痛んだ。
飼い主の危機は突然に~あずかり先はいくつあってもいい感じ
里親になる予定でいた子犬の飼い主さんにすべてを話すと、「万が一の時には、4匹ともお預かりしますから、なんの心配もいりません。ことぶきさん、1人で抱え込まずに頼ってくださいね」――思ってもない答えが返ってきて、肩の荷がおりた。
親友たちや、動物病院、通っている歯科医院の仲良しの衛生士さん(元トリマー)に、のちのちこの時の話をしたところ
「全匹を一同に預かることはできなくても、親友3人で1匹ずつなら預かるよ!」「飼い主さんがひとりで悩まないために動物病院はあるんですよ!」「ダメだ、無理だと決めつけないでひとまず相談してくださいよ!」と叱られた。
万が一は、誰に、いつ起こるか分からない。
「備えあれば憂いなし」って、災害に限ったことではないんだな――。
亡くなった愛犬が見せた不思議な夢パートⅡ
実を言うと…こんなことばかり本当は書きたくないんだけど…(スピリチュアルな人と思われたくない)…卵巣に腫れが見つかった日から2日目の朝、7月に亡くなった愛犬トトちゃんの夢を見た。
トトとわたしは夢の中で、ヘルニアで麻痺が出てしまった彼女の後ろ足のリハビリをしていた。
そのリハビリは生前のそれとは異なり、トランポリンの上で飛んだり跳ねたり、大小さまざまなバランスボールや色鮮やかな風船が踊る、やけに躍動的なものだった。赤・緑・黄色、空の真っ青なこと――ビビッドカラーが眩しかった。
目覚めた時、「卵巣の腫れは大きな病気の前触れではなく、問題ないような気がする」と思った。んーちょっと違う。トトちゃんが「大丈夫だよ、気にしないでいいよ」とわたしを励ますためにこの夢を見せたのかもしれないと思った。
と・は・い・え、わたしは心配性。
「そうはいっても心配なんだよぉ…病気じゃないのになんで卵巣が腫れるんだよぉ…」といちいちメソメソしてしまい、原発性肋間神経痛とやらまで併発してしまったというオチ。
そんなこんなで、結果的に「あらゆる部位の健康状態が分かってしまった」わたし。しかも、生活基盤を見直さなければならないと、保険や預貯金、人生設計も細かく書き出して見直すことができた。
今思うと、必要なことが必要なタイミングで起こった。
トトちゃんの旅立ちは、わたしのからだに次々と異変を起こすほどこれ以上ないほど悲しい出来事だったけれど、彼女が死を以て、これからの生き方や生活の在り方を学ばせてくれているように思えた。
なにより、トトちゃんはいつも見てくれていて、彼女なりのやり方で“前足”を差し伸べてくれているんだと半ば確信した。
今はもう触れることもできないけれど、透明になった彼女とわたしは、あの世と現世で離れてこそいるけど、『相棒』になったのかもしれない――なんてことを、わりと本気で思ったりする。
愛犬の旅立ちから百箇日に、里子犬を迎える
そうして、すべてが片付いて――彼が我が家へやってきた。
『トライアル』と呼ばれるお試し同居生活がいよいよ幕を開けた。
ponte!
ポンテ!
ポンちゃん!
彼を名付けたように呼んでいい日は、トトちゃんが旅立ってからちょうど100日目。彼を迎えるなら絶対にこの日『百箇日』だと決めていた。トトを失ったことを悲しんで泣くのはもうやめると決める日。
百箇日(ひゃっかにち)とは故人が亡くなってから(命日から)100日目のことをいい、その際に行う法要を「百箇日法要」といいます。百箇日は「卒哭忌(そっこくき)」(「卒」は終わる、「哭」は大声で泣くという意味)ともいい、残された遺族が故人を失った悲しみで泣いていたことをやめるという意味。
自家用車ではなく、あえて電車で彼を迎えに行った。290円の手回り品きっぷを乗車券とは別に買って、彼と一緒に電車に乗って帰ってきた。それはとても静かな、ponteとわたしの初めての小旅行。
この日のために買った、ポンポリースのキャリーリュックは、1.9キロの彼には十分ゆったりできる大きさで、彼にとってはもちろんのこと背負うわたしにとっても安定感があり
家にある4つのキャリーバッグのうち3つを動物保護カフェに寄付したほどとっても気に入りました。※老犬3匹もponteもたいそう気に入ったようで、そのなかでよく眠っています。
キャリーリュックのメッシュ窓から透けて見える彼は、案の定、目をバッキバキに見開いており、白目は安定の血走り具合。だけども一度も鳴かず騒がず、くーんくーんとも言わずなんとまぁおとなしい。
あまりにも静かなものだから、生きてるのかしら? とリュックの中に手を差し込むと鼻にしわを寄せ上唇をめくりあげ、小さな歯が丸見えになっていた。
「…怒ってるのね」
「ガルガルガルガル…」←囁くように唸ってる
さあ、着いた。あとは鍵を入れてドアを開けるだけ。
ポンちゃん長旅ごくろうさま。心の準備はいいですか?