ノミ騒動(発見→駆除退治→動物病院チェッククリア)が完結した頃に、待ちわびていた品が届いた。
[ノミ三部作]
愛犬の骨壺と覆い袋は「いかにも」で嫌だった
7月に旅立った愛犬トトの、新しいおうち。
骨壺を収納するための『木製のケース』。
※骨壺は付属していません
最終的に2.1キロの小さなからだになってしまったトトちゃんがお骨になって、白い骨壺と覆い袋のなかにおさまって返骨された時は、立っていられず座り込んで泣きじゃくった。
当時、手のひらが荒れていたこともあって覆い袋を撫でるとざらざらと耳障りな音がして、それが余計に悲しくさせた。あの柔らかな毛とはまったく異なる、トトがいないことを突きつける嫌な肌触り。
美犬で知られたトトちゃんは、こんなざらざらしたところに住みたくないよね? だなんて、写真のなかで笑う彼女に話しかけていた。
オーダー ペットの木製骨壺ケース
トトちゃんに似合う新しいおうちを探しているうちに出会ったのが「家具工房ひょうたん蔵」さんの、ペットの木製骨壺ケースだった。
オーダーから納品までおよそ2か月。
その間に奥様が何度も何度もメールをくださり、その内容は木製骨壺ケースのデザインのことに限らず、背中を優しくさすってくださるような、痛む胸にそっと手をおいてくれるようなあたたかなものばかり。
いただくメールに何度救われたことか…と、今も頭が下がり感謝で胸がいっぱいです。木製骨壺ケースは「愛犬デール君の旅立ち」により製作がはじまったそうです。
上記の2本の日記を揺れる視界の中で読ませていただき、この方に、こちらの工房にお願いしようと即決しました。その決断が間違っていなかったことは、“おうち”が届き、「まぁるい蓋」を撫でた瞬間に確信となりました。※印鑑蓋タイプをオーダー
「あ…トトちゃんのまるいあたまだ…」
瞼を閉じて蓋を撫でると、本当にトトの頭を撫でているように思えました。形の整ったまぁるいアップルヘッドは、美犬の特徴だねなんてよく褒められていました。
目を開けるとケースのまわりには、父犬ハム君と娘犬のブルーとぴーちゃんも集まっていました。全匹一致で「トトちゃんのおうちに決定! いいおうち!」と言っているようで久しぶりに胸のなかにあたたかいものが広がっていきました。
ペットロス第一章からの立ち直り~「死」を受け入れた日
あれだけ大騒ぎをしたノミが1匹もいない、ノミを完全に退治・駆除できていますと太鼓判を押された日に、トトちゃんを新居に移しかえることができて――自分のなかでやっとトトの死をまっすぐに受け入れることができました。ペットロスに第一章というものがあるのならば、わたしはこの日に、ひと区切りをつけられたような気がします。
ノミを駆除しているあいだに少しずつ少しずつ自分の中に変化がありました。
それは、ヘルニアからの麻痺で後ろ足が立たなくなり、リハビリの時間以外は寝たきりのトトちゃんがもしも7月…8月…9月…と生きていてくれたなら…。
それはそれでもちろんあまりに嬉しいのですけれど、寝たりきりのトトちゃんのからだにノミが住みついたら…ノミが噛んだら…どんなに不快な思いをさせただろうか。
麻痺で動かなくなった後ろ足で痒い箇所を掻くこともできず、それはそれで苦しませていたのではないだろうか。
トトが旅立ったことを悲しくさみしく感じる気持ちは依然かわらず在りながらも、ノミが発生していなかったあの日の旅立ちは…結果的には…トトちゃんにとっては少なからず不快ではない、彼女が選んだタイミングだったのかもしれないという風に思えるようになっていたのです。
そこへ届いた木製の骨壺ケースは、生前のトトちゃんの雰囲気や毛の色にとてもしっくりとくるもので、ようやくわたしは「一歩」を踏み出す力をもらえたような気がしました。
まだまだ泣くよ、きっとまだ泣く。
会いたいし触れたいし飽きるほど撫でたい。
でも、受け入れたよ。やっと受け入れたよ。
もう…いないんだね…。
トトちゃんのアップルヘッドを思わせる蓋に触れながら、木のぬくもりに包まれてさっそく眠っているだろう彼女に話しかけました。
やっと強がりじゃなく、心からありがとうって言える。
さみしいけどもう悲しまないよ。