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忘れもしない。9月7日、ツイッターのTL上に流れてきた「藤井動物病院」の院長のツイート。リプライまでしたわたしは、前日までに比べるとほんのわずかに足取りを軽く、ハム君を連れて動物病院へ向かった。




犬を飼って14年。4匹の多頭飼いの飼い主であるわたしは、生まれて初めて「ノミ」を見た。自分の愛犬のからだにノミがいたのを発見して、卒倒したのは前日の6日の夕方。

ノミ駆除の情報を集めようとツイッターを開けたところで、藤井院長の例のツイートを目撃したという流れになる。

わたしは虫にアレルギーを持っている。

精神的嫌悪な意味での〇〇アレルギーではなく、ショック状態が発生することもある命に係わる本気ど真ん中のアレルギー。かなりの潔癖症を持っていることもあり、家の中は当然、チビたちの“清潔度”なんかもなかなか高いと言い切れる。

この家に越してきてからは、お家や企業のお掃除サービスで有名なD社の害虫駆除サービスを月々契約して丸5年。

身内が同時に2人病に倒れてしまった2年前には、家のことはさておき西へ東へと奔走していたため、フローリングの一部をカビさせてしまった。これと、ある特例の1回を除けば虫とは縁ができないように、清潔に清潔に生活していた。

それなのに、それなのに…。

ノミとわたしの3週間戦争~完全駆除の勝利~については後日徹底して書くとして、ハム君とぴーちゃんの毛の中にひそんでいたそいつが「ノミ」であることは間違いないと獣医さんから太鼓判を押され――こちらの太鼓判は、若干ショックだった――励まし上手で聞き上手な看護師さんと受付で雑談をしていた。

藤井動物病院・院長のツイートを疑う気持ちは毛頭なかったのだけれど、「ほんとに?!」という驚きがあまりにも強かったので看護師さんに話してみたところ、「それが本当なんですよね~」と仰る。

看護師さんがこれまでみてこられた様々な実例や経験談を聞かせてくださった。「お孫さんの誕生が高齢になられたご両親の生きる糧となり、病が治った話なんかもわりとよく聞きますよ。不思議ですよね」「へえ…“生なる存在”って命と張り合いを吹き込んでくれるんですね」


家に着くまで心は決まっていた。
このタイミングで「ノミが発生した」のにはなにか意味があると思えた。

保護犬を迎えいれる準備をするために家じゅうを、気持ち新たに徹底掃除せよ! なのか、「今じゃないよ、そのコじゃないよ」なのか。このどちらかだろう。その答えはすぐに出るような気がした。

部屋に入るや否やパソコンを立ち上げ、ブックマークから「保護するならこのコがいい」と候補に挙げていた、栗色のやわらかな毛と大きな目をした6歳の可愛いチワワの女の子のページを呼び出すと、動物病院にいるあいだに「里親さんが決定」と最新表示されていた。

このコが幸せになれる先は我が家ではなかった、ただそれだけのこと。このコが次こそ、思う存分に愛されて、嫌になるほど撫でられて構われて最高に最高に幸せになれますように――。

会ったこともないそのコの幸せを心から願えた。
悔しいとか、寂しいなんて気持ちはただの1つも湧いてこなかった。

そしてふと思い出した。8月17日の夢を。
立派な毛和牛と、艶やかない髪の日本人形の女の子が出てきた夢。




「今じゃないよ、そのコじゃないよ。そのコは栗色でしょ? 縁があるのは黒い毛のコ!」

――だなんて、まさかね。そんなわけないよね。そんなことよりノミ退治!!! 今日から3週間が勝負!!!



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