
2月に気管虚脱のグレートⅡと診断されたぴーちゃんが旅立つまでの半年足らず。気管虚脱が原因で彼女は旅立っただろうか? その答えは――
「NO」だ。「いいえ」だ。
まずひとつに処方されていた薬『ベトルファール』が彼女に合っていて、苦しそうな咳き込みはずいぶんと減った。薬が合うというのはこういうことなんだな! と思った。
もちろん薬だけに頼ったわけではない。超小型犬とされるチワワの体高周りを重点にした住環境の見直しと掃除の徹底、わずかな違和感も見逃さず常にアップグレードさせた。
わたしは身長が約172cmと高いため、ともすれば自分基準で掃除をしがちになる。
けれど空気中の埃や花粉、知らぬ間に舞い上がった――目に見えにくい――ダニの糞などは、床に積もり、体高の低い小型犬の鼻や気管に嫌な刺激を与える。これは気管に病気を持つペットにとって命取りになる大きな問題だ。
- 積もった埃は落とさずワイパー類で“絡めとり”
- 床に積もった埃なども床拭きワイパーで“絡めとる”
- その後に床を水拭き
- 必要に応じて掃除機
とにかく絡めとること1日2~3回の、掃除ばかりの毎日がおよそ1年半続いていたのだけど『ベトルファール』を服用するようになってからは、ずいぶんと掃除の手間が楽になった。
それでも気管虚脱と「化学物質過敏症」からくる咳がぴたりと止まったわけじゃない。ひと頃に比べるとずいぶんと楽になり、落ちついて眠れるようになった彼女とわたしたち。
まさにその通り、彼女は眠りながら旅立った。
モニターカメラにもその姿は残っているけれど、早朝5時過ぎ のわたしの見回りに尻尾をぷりぷりと振ってわたしを見上げ、ご機嫌にぴょんぴょんと飛び回っているぴーちゃんの姿がある。


そうしているうちに彼女は通称犬部屋の「母犬トト」の骨壺を置いたテーブルの下で永遠の眠りについた。トトに甘えて寄り添って、安心して眠れていた頃みたいに。