こういった話はペットを飼ったことがある人になら、わりと共感されやすい、と思う。動物には人を見る目があるという話を、聞いたことのある方は少なくないと思う。
ガスファンヒーターの焦げくさいにおい
こちらのブログで散々書いているとおり、老犬のぴーちゃんとわたしはひょんなことから化学物質過敏症になった。それは完治はいしてないものの、ひと頃に比べるとずいぶん緩和した。
ただ、自分の嗅覚はかつてより過敏になっており、ある意味「あてにならなくなっていた」。
多くの人にとってはなんてことないにおいにも過剰に反応し、クサい!! しんどい!! と感じてしまう、自分の方が普通ではなかったんだと知った――という意見は化学物質過敏症や香害に苦しむ方々、発達障害などで「嗅覚が人よりも過敏」な方々に多くみられる意見だった。
ひと月ほど前、ガスファンヒーターから焦げくさいにおいがする――ような気がした。万が一のことがあったら大事に至る。とはいえいわゆるガス漏れのにおいとは違うようにも思う。ガス漏れのにおいは、焦げくさいとは違った気がする。
ガス漏れの際に絶対にしてはいけない4ヶ条
だがしかし、だ。
前述したようにわたしの鼻は残念ながら当てにならなくなった。とりあえず部屋中の窓を全開にし、ガス漏れの際に「してはいけないこと」を調べた。
- 電灯、換気扇などのスイッチに触らないでください。コンセントの抜き差しもしないでください。※(ON・OFFする際に、小さな火花が出ます)
- ガス臭い場所が屋外の場合は、窓や戸を閉めガスが室内に入らないようにしてください。必要に応じてご近所にも注意を呼びかけて、避難誘導をお願いします。
- ガス臭い所へは立ち入らないでください。
- ライターやマッチなどの「火気」を絶対に使わないでください。
(4)は知ってる。(2)(3)も分かる。(1)は知らなかった。(1)を知らなかった!!! この際に知っておいて良かったと心臓がきゅっとなった。
開け放った窓はそのままにベランダへ出てガス会社に連絡を入れ事情を話すと、近くのサービスショップからすぐに点検に向かわせるとのこと。よかった、これで出火元になることなく近所にご迷惑をかけなくて済むと胸をなで下ろした。
番犬にならない鳴かない吠えない4匹の犬
話は変わるが、わが家は多頭飼い。マンション暮らしのため、鳴かないよう吠えないよう徹底的に躾済みだ。
暴れ回っている時にはオス同士でガウガウ言いあったりもするけれど――とくに内1匹――どなたからも「4匹もいるのに番犬にならない」と笑われるほど鳴かないし、吠えない。
ガス会社に電話を入れてから数時間。
前々日からSNSでちらほら見かける「給湯器が壊れた」「部品の到着2か月待ち」云々のせいもあるのだろうか、とても混み合っていると受付の女性は言っていた。
ファンヒーターを止めて焦げくさいにおいもおさまり、エアコンで暖をとっているので、寒くはないしなにより安心だ。まもなくガス会社の人が訪問する約束の時間がやってくる。
ヒーターの表裏の埃はとっているし、リビングの軽い掃除も済ませた。ヒーターの風向口内部にはうっすらと埃が見えるけれど、それはどうしたって拭うことができない。
わたしの嗅覚が正常だとしたら、おそらく、焦げ臭いにおいはこの内部の埃が原因だと思われる。焦げ臭いと感じる嗅覚を信じるならば、だ。いちいち厄介だな、化学物質過敏症は……まったく……。
サービスショップの人がやってきた ヤァ!ヤァ!ヤァ!
インターフォンが鳴り、モニターを覗くと歳の頃三十代半ばと思しき男性が立っていた。見覚えのある上着はガス会社のサービスショップのもので間違いない。
玄関先で軽く挨拶を済ませる。
ひとり暮らしのおばあさんに好かれそうだな、と思った。
でも、なんかちょっと“モヤっ”とする。
この場で名刺を渡されないせいだろうか?
その男性はおしゃべり好きだった。簡単な点検と原因と思しきもの、内部の埃のクリーニングの必要を説明し終えたのち、立ち上がるかと思いきや、なぜかヒーターの前にどっしりと腰を下ろした。
そのことも気になったけれど、わたしにはもうひとつ気になっていることがあった。それはその男性をヒーターのあるリビングに招き入れた瞬間から、14歳の老犬ブルーが小さくずっと唸っていることだった。(つづく)