愛犬の止まらない咳の原因を突き止めたい
13歳の老犬チワワ・ぴーちゃんの咳が酷くなり始めたのは2020年の冬に入ってから。はじめは「空気の乾燥」が原因だろうと思って、加湿器をこれまでのハイブリッド式からスチーム式へ新調した。
それでも咳が止まらないため、今度はカビを疑って「窓サッシのパッキン及びレールの掃除」をし、「エアコンクリーニング」を頼み、「窓サッシのゴムパッキンの付け替えを依頼」した。
チワワの老犬の止まらない咳と寒空の散歩
ぴーちゃんの酷い咳で目が覚める深夜3時。ホットカイロを貼りつけたブランケットに彼女をつつみ、寒空のした2~30分の散歩に出かける。
家の中にいると咳込むのに外に出ると咳がおさまってくる(咳が止まらず続くこともある)。徹底的に掃除を繰り返している家の中よりも、外の空気のほうが苦しくなく吸いやすいだなんて…とやり切れない思いに胸が締め付けられることは少なくなかった。
あまりにも彼女の咳が止まらず、よだれや鼻水を出しながら息も絶え絶えになっていたある夜。このまま死なせてあげた方がいいのではと、ぴーちゃんの細い首に手をまわしたことがある。
母乳がうまく飲めなかった生まれたばかりのぴーちゃんに、2~3時間ごとに起きてシリンジや哺乳瓶でミルクを与え続けた数か月を思い出した。わたしにとって“特別な愛情”のあるこの子の咳ひとつ、救えないなんて、なんと役立たずの飼い主なんだろう。
母乳がうまく飲めなかった生まれたばかりのぴーちゃんに、2~3時間ごとに起きてシリンジや哺乳瓶でミルクを与え続けた数か月を思い出した。わたしにとって“特別な愛情”のあるこの子の咳ひとつ、救えないなんて、なんと役立たずの飼い主なんだろう。
もちろん『その先』に進むことはできなかったけれど、だとしたらこれ以上どうすればいいのか分からずわんわん泣いた。この時のわたしに出来ることはすべてやり尽くしたと思っていたから。
彼女の咳で目が覚めるから、1日の睡眠は細切れで、合計するとやっと2~4時間になるという感じだった。わたしの精神もおかしくなっていた。ぴーちゃんだって同じくらい、いや、それ以上につらい思いをしているはずだと分かっていたのだけれど、本当にしんどかった。
ベッドのヘッドボードからの「刺激臭」
ある時から「異臭」を感じるようになった。それは買いかえたばかりのべッドの「ヘッドボード」から臭ってきていた。ヘッドボードの上部にはデザインによる『空間』があいていて、そこに鼻先を向けると刺激臭で目がちくちくとした。
この頃にはぴーちゃんもブルーも寝室を出てリビングで眠るようになっていた。刺激臭を放つヘッドボードの空間を塞ぐようにクッションをいくつか立てかけて、ベッドで眠るのは里子犬として迎えたばかりのポンちゃんとわたしだけになっていた。
もしかすると原因はこれなんじゃないか? と、動物病院の先生に話してみたところ「急ぎましょう」とある専門機関を紹介していただいた。そこはシックハウス症候群の原因を突き止めたり、有機化合物であるホルムアルデヒドを測定してくれるのだという。
愛犬の止まらない咳の原因は有害物質「ホルムアルデヒド」
結論から先に書くと獣医さんの読みは大当たりで、寝室のドアを開けた瞬間に2人の調査員の方が「これはもう間違いないですね」と苦笑いを浮かべていた。
その後の測定・検査――即日にわかる結果と後日より詳細に届けられる結果の2ステップを踏みました――によって、ホルムアルデヒドによって苦しめられていたことがハッキリとした。
年配の調査員の方が言った。
「このベッドはどちらで買われたんですか?」
「――です。まだ買ったばかりです」
日本に暮らす人たちの99%が知っているであろう有名企業。セレブ宅にはないかもしれないけれど、給料前にはすこしばかり“もやし料理”が増える我が家のような平均的な世帯収入のご家庭にはその企業の品が1つはあるだろう。
若い方の調査員の方と目が合った。
「あそこの家具でこういう話はよく聞きますよ、あとは○○の家具も…ねぇ?」
「よく聞くんですか…」
「よく聞くんですか…」
「聞きますよ。だからうちらは――や○○の家具や木製とうたわれた製品は1つも買わないよ」
「前にも有害物質の入った商品を扱っていたとかで回収騒ぎがあったでしょ?」と2人は調査員だからこそ知る話を言える範囲で教えてくださった。
「前にも有害物質の入った商品を扱っていたとかで回収騒ぎがあったでしょ?」と2人は調査員だからこそ知る話を言える範囲で教えてくださった。
「訴えたら勝てるよ」
「返品して返金をお願いした方がいい」
「10日ほど待ってくれたら、詳細の検査結果と証明書も出せますよ」
「とりあえずこのベッドは換えるか処分するか、急いだ方がいいね」
「うちらは調査機関で対策してあげられる業者ではないから、間に合わせにしかならないけど、ごめんね…」と、有害物質を吸収するシートのようなものをヘッドボードの裏やベッド裏に貼りつけてくださったのだけど、これだけでも3時間後にはずいぶんと臭いが減ったので驚いた。
さて、ここからが問題だ。
あの大企業相手にわたしはどう戦っていこうか。
※有害物質であるホルムアルデヒドが「ベッド」から発生した理由は次回に書く予定です